2015年12月21日

放物型部分群$P$のLevi商の表現$\sigma$が,より大きな放物型部分群の表現に拡張できることがある.明らかなのが自明表現の場合で,この場合は全体まで伸びる.伸びるような最大の放物型部分群$P(\sigma)$は,ルート系の言葉で書くことができる.どっかにあるかと思い,必要になった時に探してみたけど,見つけられなくてちょっとびっくりした.そのとき必要になったのはもう少しシンプルな場合で,ルート系が直行するように$\Delta = \Delta_1\cup \Delta_2$と分解していて,上の$P$が$\Delta_1$に対応する放物型部分群な場合.この場合,$\Delta_2$に対応する放物型部分群のLevi部分を$M_2$として,$M_2'$を(位相群としての)交換子群,$Z$を極小放物型部分群のLevi部分群とすると,もし$\sigma$が$Z\cap M'_2$上自明ならば,$\sigma$は$G$への拡張であって,$M_2'$が自明に作用するものを持つ.

ということのHecke環バージョンが必要で以前考えた.$P$のLevi部分群$M$のHecke環は$G$のHecke環に入るわけではないので,「拡張である」ということの意味は非自明である.放物型誘導表現を$I_P(\sigma) = \mathrm{Hom}_{\mathcal{H}_M^-}(\mathcal{H},\sigma)$というように定義していたので,$\sigma$の拡張が$I_P(\sigma)$に入るようにと$\mathcal{H}_M^-$上で一致するようにという条件を課した.($\mathcal{H}_M^-$は$P$の冪単根基のコンパクト部分群を広げるような元全体に台を持つHecke環.)これはうまく機能した.

そのときは気づかなかったのだが,先週話していたら,どうも妙だということに気がついた.最初の拡張の定義は,正ルート系をどうとったかは関係ない.一方で,$\mathcal{H}_M^-$は正ルート系の取り方に依存する.どうも話した結果,正ルート系に依存せずに定義を書くことができるようだ.もちろん上での定義は正ルート系に依存しない定義と一致する.最初に考えたときに気づくべきだったなぁ.

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