2018年3月19日

たまには数学のメモ.

簡約群$G$の中心$Z_G$が連結ならば,fundamental coweightが存在する.$T$を極大トーラス,$\Delta$を単純ルートの集合とすると,$Z_G = \{t\in T\mid \alpha(t) = 1\ (\alpha\in \Delta)\}$であるので,$X^*(Z_G) = X^*(T)/\sum_{\alpha\in \Delta}\mathbb{Z}\alpha$,つまり \[ 0 \to \bigoplus_{\alpha\in\Delta}\mathbb{Z}\alpha\to X^*(T)\to X^*(Z_G)\to 0 \] は完全である.$Z_G$が連結ならば,$X^*(Z_G)$は自由$\mathbb{Z}$加群であるので,この完全系列は分裂する.その分裂を$f\colon X^*(T)\to \bigoplus_{\alpha\in\Delta}\mathbb{Z}\alpha$とし,$f(x) = \sum f_\alpha(x)\alpha$とすると,$f_\alpha\in \mathrm{Hom}_{\mathbb{Z}}(X^*(T),\mathbb{Z}) = X_*(T)$で,$f$が分裂を与えているという仮定から,$f_\alpha$が$\alpha$に関するfundamental coweightとなる.

一方,任意の簡約群$G$に対して,中心が連結な簡約群$G_1$とそれへの埋め込み$G\hookrightarrow G_1$で,この埋め込みが導来群上の同型を与えるものが存在する(双対$z$拡大).実際の構成も簡単で,$T$を$G$の極大トーラス(実際には$Z_G$が埋め込めるトーラスならば何でもよい)として,$G_1 = (G\times T)/Z_G$とすればよい.ただし,$Z_G\hookrightarrow G\times T$は$z\mapsto (z,z^{-1})$と定める.このとき$G_1$の中心は$(Z_G\times T)/Z_G\simeq T$となることが容易にわかり,$G_1$の中心は連結となる.

この場合,$G_1$の極大トーラス$T_1$に対して,分裂$X^*(Z_{G_1})\to X^*(T_1)$を具体的に書くこともできる.$T_1$は$T_1 = (T\times T)/Z_G$で与えられる.$\lambda\in X^*(Z_{G_1}) = X^*(T)$に対して,$T\times T\to \mathbb{G}_{\mathrm{m}}$を$(t_1,t_2)\mapsto \lambda(t_1t_2)$と定めると,これは$T_1 = (T\times T)/Z_G\to \mathbb{G}_{\mathrm{m}}$に落ちて,この対応$X^*(Z_{G_1}) \to X^*(T_1)$は$X^*(T_1)\to X^*(Z_{G_1})$の分裂を与える.

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