2016年2月6日

更に続き.

Parity sheaves

Parity sheafとの対応がある.一般のKac-Moody群で定理がいえるようだが,affineの場合にはこうなる.$G^\vee$を双対群とし,$I^\vee\subset G^\vee(\mathbb{C}((t)))$を岩堀部分群として,旗多様体$\mathcal{Fl}^\vee = G^\vee(\mathbb{C}((t)))/I^\vee$を考える.アフィン単純鏡映の列$(s_1,\ldots,s_r)$に対してBott-Samuelson多様体が定まるが,その定数層の押し出しを考え($I^\vee$同変層と見なす),そのシフトと直和,直和因子により生成される圏を$\mathrm{Parity}_{I^\vee}(\mathcal{Fl}^\vee)$とする.この対象は全てParity sheafとなる.

単純偏屈層のように,$\mathcal{Fl}^\vee$上のindecomposable Parity sheafは$w\in W$でパラメトライズされる.$\mathcal{E}_w$を$w\in W$に対応するindecomposable Parity sheafとする.

圏同値$\mathcal{D}\simeq \mathrm{Parity}_{I^\vee}(\mathcal{Fl}^\vee)$で,$B_w$を$\mathcal{E}_w$に送るものが存在する.

先ほどとの大きな違いは,両者の係数が割りと自由に取り替えられることである.実際にはこの定理は$\mathbb{Z}[1/2]$で成り立つ.(群によっては$\mathbb{Z}$上で成り立つ.)証明にはこれが効く.関手は割とそのままという感じで作る.問題は$\mathcal{D}$での超複雑な関係式のチェックなのだが,これは次のようなことをする.

調べるべき$\mathrm{Hom}$は全て係数上自由なので(基底が直接作れる)$\mathbb{Z}[1/2]$を$\mathbb{Q}$で置き換えて示せば良い.$\mathcal{F}\in \mathrm{Parity}_{I^\vee}(\mathcal{Fl}^\vee)$に対して,$\mathbb{H}(\mathcal{F}) = H^*_{I^\vee}(\mathcal{Fl}^\vee,\mathcal{F})$をそのコホモロジーとする.これは$H^*_{I^\vee}(\mathcal{Fl}^\vee)$加群となる.射$R\times R\to H^*_{I^\vee}(\mathcal{Fl}^\vee)$を通じて,関手$\mathbb{H}\colon \mathrm{Parity}_{I^\vee}(\mathcal{Fl}^\vee)\to R\mathrm{-bimod}$を得る.合成 \[ \mathcal{D}\to \mathrm{Parity}_{I^\vee}(\mathcal{Fl}^\vee)\to R\mathrm{-bimod} \] を考える.これはまさに$\mathcal{D}$とSoergel加群との比較であり(多分標数0で圏同値になる,という定理の射なんだと思うんですが),従って関係式のチェックはすでにされている.$\mathbb{H}$は忠実充満なので(Bezrukavnikov-Yun)これで関係式のチェックが終わる.Homの同型のチェックはtilting加群の時と似た感じだろうか.

既約指標について

述べられている予想が正しければ,tilting加群の指標を決定することができる.これから$p\ge 2h - 2$だと既約指標を次のように決定することができる.

いくつか記号を用意する.$\mathbf{X}^+_1$を$\lambda\in\mathbf{X}^+$であって,全ての単純ルート$\alpha$に対して$\langle \lambda,\alpha^\vee\rangle < p$を満たすもののなす集合とする.このとき,任意の$\lambda = \mathbf{X}^+$は$\lambda = p\gamma + \eta (\gamma\in \mathbf{X}^+, \eta\in\mathbf{X}^+_1)$と書ける.$w_0\in W_{\mathrm{f}}$を最長元とする.$\lambda = (p - 1)\rho + p\gamma + \eta\in (p - 1)\rho + \mathbf{X}^+$に対して$\lambda^\vee = (p - 1)\rho + \gamma + w_0\eta$とおく.これは$\mathbf{X}^+$の元を与え,全単射$(p - 1)\rho + \mathbf{X}^+\to \mathbf{X}^+$を与える.$y\in {}^{\mathrm{f}}W$に対して,$\hat{y}\in {}^yW$を$(\hat{y}\cdot \lambda)^\vee = y\cdot \lambda$で定める.最後に,$w\in {}^{\mathrm{f}}W$であって,$\langle w\cdot \lambda_0,\alpha^\vee\rangle < p(h - 1)$が全ての正ルートに対して成り立つようなもの全体を${}^{\mathrm{f}}W_0$とおく.

$p\ge 2h - 2$とする.$x,y\in {}^{\mathrm{f}}W_0$に対して, \[ [\Delta(x\cdot \lambda_0) : \mathbb{L}(y\cdot \lambda_0)] = (\mathbb{T}(\hat{y}\cdot \lambda_0) : \nabla(x\cdot \lambda_0)) \] が成り立つ.

右辺が$p$-canonical basisでかけるというのが予想の帰結.よって$\mathbb{L}(y\cdot \lambda_0)$の指標が書ける.一般の$y$に対してはSteinbergのテンソル積公式で出るんだと思う.仮定$p\ge 2h - 2$はどのくらい本質的なんだろう.

$\mathrm{GL}$

$\mathrm{GL}$の場合は予想は示されている.

$n\ge 3$,$G = \mathrm{GL}_n$,$\lambda_0 = (n,\ldots,n)$の時予想は正しい.

$n = 1$ももちろんO.K.で,$n = 2$はアフィンルート系が違って面倒なので条件から外したらしい.

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