2022年10月26日

Clifford理論

と呼ばれたりするやつ.ちょっとメモ書き.$G$を群として,$H$をその指数有限の正規部分群とする.以下表現の係数体は$C$で閉体であることを仮定する.

$\pi$を$G$の既約表現とすると$\pi|_{H}$は半単純で長さ有限.

$G/H$の完全代表系$X$を固定すれば$0\ne v\in V$に対して$Xv$で$\pi$は生成されるので$C[H]$上有限生成.$\pi_{0}$を既約商とすると,$\pi\hookrightarrow \mathrm{Hom}_{C[H]}(C[G],\pi_{0})$.右辺は$H$表現として$\bigoplus_{x\in X}\pi_{0}\circ\mathrm{Ad}(x)$に等しく,長さ有限で半単純なので$\pi|_{H}$もそう.

$G/H$が巡回群であるとする.$\sigma$を$H$の既約表現で$\mathrm{End}_{H}(\sigma) = C$かつ$\sigma\circ\mathrm{Ad}(g)\simeq \sigma$をすべての$g\in G$に対して満たすものとする.このとき$H$の$\sigma$への作用は$G$に伸びる.

$n = [G:H]$とおく.$g\in G$を$G/H$を生成するものとしてとる.同型$f\colon\sigma\simeq \sigma\circ\mathrm{Ad}(g)$をとる.$f^{n}\colon \sigma\to \sigma\circ\mathrm{Ad}(g^{n})\xrightarrow{g^{-n}}\sigma$は$H$準同型なので$f^{n} = cg^{n}$とできる.$f$を$c^{-1/n}f$に取り替えて$c = 1$としてよい.このとき$\sigma(g^{k}h) = f^{k}\sigma(h)\ (k\in\mathbb{Z},h\in H)$と$\sigma$を$G$上に伸ばすと,まず$f$はwell-definedで$k_{1},k_{2}\in\mathbb{Z}$と$h_{1},h_{2}\in H$に対して$\sigma(g^{k_{1}}h_{1}g^{k_{2}}h_{2}) = \sigma(g^{k_{1} + k_{2}}(g^{-k_{2}}h_{1}g^{k_{2}}h_{2}) = f^{k_{1} + k_{2}}\sigma(g^{-k_{2}}h_{1}g^{k_{2}}h_{2})$であるが,$f^{k_{2}}\colon \sigma\to \sigma\circ\mathrm{Ad}(g^{k_{2}})$は$H$準同型なので$f^{k_{2}}\circ \sigma(g^{-k_{2}}h_{1}g^{k_{2}}) = \sigma(h_{1})\circ f^{k_{2}}$を満たすので,$\sigma(g^{k_{1}}h_{1}g^{k_{2}}h_{2}) = f^{k_{1}}\sigma(h_{1})f^{k_{2}}\sigma(h_{2}) = \sigma(g^{k_{1}}h_{1})\sigma(g^{k_{2}}h_{2})$となり$\sigma$は表現である.

既約部分表現$\sigma\subset\pi|_{H}$が存在するのでそれを固定する.$H' = \{g\in G\mid g\sigma = \sigma\}$(空間として保つ)とおく.$H\subset H'$であり,また$\sigma$は$H'$の表現になる.$C[G]\otimes_{C[H']}\sigma\to \pi$が存在し,$\pi$の既約性から全射である.次はA. Roche, The Bernstein decomposition and the Bernstein centreの1.6.3から.

$G/H$が可換ならば,ある$\sigma$が存在して$C[G]\otimes_{C[H']}\sigma\to \pi$は同型になる.

$H'$表現であることを強調するために$\sigma$を$\sigma'$と書く.$H'' = \{g\in G\mid \sigma'\circ\mathrm{Ad}(g)\simeq \sigma'\}$とおく.これは$H'$を含む$G$の部分群である.今$H'' = H'$が成り立ったとしよう.すると,$g\in (G\setminus H'')/H'' = (G\setminus H')/H'$に対して$g\sigma'$と$\sigma'$は$H'$表現として同型でない既約表現である.よって$\sum_{g\in G/H'}g\sigma$は直和にならなければならない.これは射$C[G]\otimes_{C[H']}\sigma\to \pi$が単射であることを意味する.

従って$H'' = H'$となるように$\sigma$をとれることを言えばよい.次を示そう:$H'\ne H''$とすると,ある($\sigma$とは異なるかもしれない)既約部分表現$\sigma_{1}$があり,$\{g\in G\mid g\sigma_{1} = \sigma_{1}\}$は$H'$よりも真に大きい.このように得られる$\sigma_{1}$に$\sigma$を取り替えていくステップにより$\{g\in G\mid g\sigma = \sigma\}$はどんどん大きくなっていくが,$[G:H]$の有限性からこれは途中で止まる.よって最終的には$H' = H''$となるような部分表現に達することができる.

さて$H''\ne H'$を仮定して$H_{1}$を$H''\supset H_{1}\supset H'$であり$H_{1}/H'$が非自明な巡回群になっているような部分群としてとる.補題から$H'$の$\sigma'$への作用は$H_{1}$に伸びる.$\mathrm{Hom}_{H'}(\sigma',\pi)$は$0$ではなく,今伸ばした$H_{1}$から誘導される作用が入り,$H_{1}/H'$表現を得る.$H_{1}/H'$は可換なのでこれは一次元部分表現を含む.それを$\chi\colon H_{1}\to C^{\times}$とすると$0$でない$H_{1}$準同型$\chi\otimes \sigma'\to \pi$が存在する.この像を$\sigma_{1}$とすると,この部分空間は$H_{1}$で閉じていて,それは$H'$より真に大きい.

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