jlreq.cls話……というよりはTeXマクロな話．jlreq.clsの中で次のようなマクロを用意している．

\jlreq@ifendmark{<トークン列>}{<実行1>}{<実行2>}

これは<トークン列>が\jlreq@endmarkならば<実行1>を，そうでなければ<実行2>になるfully expandableなマクロ．ただし，<トークン列>は\jlreq@endmarkのみか\jlreq@endmarkを全く含まないと仮定する．

使うのは次のような時．\cmd{{A}{B}…}みたいなマクロを作りたい時に，まず\def\cmd#1{\cmdA#1\jlreq@endmark}として，一引数ごとに解釈していく\cmdAを定義することで実装する．\cmdA内では#1が\jlreq@endmarkであるか否かの判定をすることになる．

最初は何も考えずに，マクロとか使わず直に

\ifx\jlreq@endmark#1\relax……\else……\fi

と書いていた．#1が\jlreq@endmarkと等しければ明らかによく，そうでなければ#1の最初のトークンが\jlreq@endmarkと一致せずに読み飛ばされる，というわけである．#1の二つ目以降のトークンは読み飛ばし対象となる．

大概これで良いのだが，#1が\iftrue\fiとかで破綻する．\ifx\jlreq@endmark\iftrue\fi\relax\else\fiとなってしまい，\ifxにより\iftrueが食われてしまう．その結果，\fiが\if***より一つ大きくなって破綻する．

実際に使っていてこれで破綻してしまった（先頭に\if***が来る引数を与えなくてはならなくなった）ので，今のでは次のように書いている．

\long\def\jlreq@helper@ifendmark@getfirsttoken#1#2\jlreq@endmark{#1}
\long\def\jlreq@ifendmark#1{%
  \expandafter\ifx\jlreq@helper@ifendmark@getfirsttoken#1\jlreq@endmark\jlreq@endmark\@empty
    \expandafter\@firstoftwo
  \else
    \expandafter\@secondoftwo
  \fi}

これは次の例で破綻する：\jlreq@ifendmark{{AA}}．\jlreq@helper@ifendmark@getfirsttokenとかいうマクロで一つ目のトークンだけ取り出した気になっているが，これは一つ目のトークンを取り出すとは限らないわけである．まぁ，jlreq.cls内ではこれで困ることはないのだが．

というわけで，改めてこんな風に手元でしてみた．

\long\def\jlreq@ifendmark#1{%
  \expandafter\expandafter\expandafter\ifx\jlreq@ifendmark@#1{}\jlreq@endmark\jlreq@endmark
    \expandafter\@firstoftwo
  \else
    \expandafter\@secondoftwo
\fi}
\long\def\jlreq@ifendmark@#1#{\jlreq@ifendmark@@#1\@empty\jlreq@endmark}
\long\def\jlreq@ifendmark@@#1#2\jlreq@endmark#3\jlreq@endmark{#1}

つまり，まずグルーピングの始まる{の前までを取得し，更にその一つ目のトークン（これは{}によるグルーピングを含まないはず）をとって比較する．{の前が空っぽだと面倒なので，\@emptyを挟んでいる．すると，\jlreq@ifendmark#1{}\jlrqe@endmarkを二回展開すると，

• #1における{の前までが空ならば\@emptyに，
• そうでなければ{の前までの一つ目のトークン（つまり#1の一つ目のトークン）に

展開され，後はこれを\jlreq@endmarkと比較すれば良い．これならば大丈夫だと思うのだが．

ちなみに

\def\jlreq@ifendmark#1#2#3{\ifx**** #2\else #3\fi}

ではなく\@firstoftwoや\@secondoftwoは（TeXあるあるだけど）#2や#3の\if***\fiが対応がとれていなくても大丈夫にするため．上の定義ならば，#2や#3の部分が解釈される時には\ifxによる読み飛ばしは完了している．