2019年12月20日

昨日まで富山.本場の富山ブラックを食べた.東京で食べた富山ブラックって黒いだけのイメージだったんだけど,本場のはすごく塩辛かった.しかしだんだん癖になる不思議…….お値段が特大ラーメン(麺二玉)が並ラーメン(麺一玉)の倍の値段だった.珍しい.

でなんか言われたのでたまには数学の話でも.集会ではSoergel両側加群の話をさせてもらいました.Coxeter系$(W,S)$に対してHecke環の圏化を与えるSoergel両側加群の圏ですが,それには$W$の表現$V$を一つ固定する必要があります.で,もともとのSoergelの理論ではこの表現が鏡映忠実である必要がある.

どういう動機かはよくわからないけど,この場合にdiagrammaticな表示を与えたという仕事が.対称群の場合にはElias-Khovanovがやっていて,一般の場合はElias-Williamson.Elias-Williamsonは更に,$V$が鏡映忠実じゃない場合にもそんな記述で定まる圏$\mathcal{D}$が割といい性質を持っていると言うことを示した.一方で,Soergel両側加群の圏は鏡映忠実じゃないとあまりよくない,と論文に書いている.特にWilliamsonは,$\mathcal{D}$が正標数の表現論を記述することをその後明らかにしていく.と,とりあえずそれは別のお話.

Elias-Williamsonも$V$に条件はつけていて,realizationである,つまりrootやcorootのようなものが存在するということを仮定する.そうすると,realiztionと表現忠実の間の,どの仮定がSoergel両側加群の圏の理論にとって本質的であるのかが気になった.表現忠実は定義から特に忠実で,忠実でないとまずそうなのは定理の書き方からほぼ明らか.応用上出てくる表現も,忠実性がぶっ壊れているというケースが殆ど.では,「忠実でないが故に明らかに壊れている部分」以外でどのくらいまずいのか,ということを考えてみた.結果的には,忠実だとまずくなる部分を補正する形で理論を修正すればSoergel両側加群の理論がうまく行き,$\mathcal{D}$と圏同値な圏を殆どの場合に与えるということがわかった.というお話.

個人的にはこれで半分くらいは満足して,もう半分は以前から兼田先生に聞かれていた,Riche-Williamsonの予想の$G_1T$加群版への応用.ただ,もう少し潜在的には使える場面が多いのではないかと思っていて.もともとのSoergel両側加群が使われている場面ってのはそれなりにあるけど,その辺の議論があまり変更しないまま一般化できるんじゃないかと思っている.頑張って$\mathcal{D}$でできることもあるのだろうけど(実際にあるけど)$\mathcal{D}$は作るのが複雑(生成元と関係式で作るけど,関係式がめちゃくちゃ複雑)なので,大変だったり結局(何らかの方法で表現忠実な場合に帰着させて)もともとのSoergel両側加群の理論に帰着させたりしていたりもするので.そういうことは漠然と思ってはいるのだけど,具体的な応用ができているわけじゃないからなんだか言いにくい.

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